インバウンド集客

「外国人宿泊-13.4%」の中身——訪日客の国籍が静かに入れ替わっている

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「外国人宿泊-13.4%」の中身——訪日客の国籍が静かに入れ替わっている

2026年5月、外国人延べ宿泊者数は1,382万人泊、前年同月比-13.4%。数字だけ見れば「インバウンドが失速した」で終わる。だが本当の変化は総量ではなく“中身”で起きている。訪日客の国籍構成が入れ替わり始めた——この地殻変動が、多言語メニューとMEO対策の優先順位を静かに書き換える。

「訪日が減った」。観光庁の7月6日の発表を、その一言で片付けて閉じるのは早い。減り方には、はっきりした偏りがある。全員が等しく引いたのではない。ある国が崩れ、別の国が伸びていた。


KEY POINTS

視点読み取れること
表面5月の外国人宿泊は1,382万人泊で-13.4%。全体でも5,339万人泊、-4.8%
深層減少の主因は中国。4月の国籍別で中国は-55.0%と半減し、4位まで後退
逆の動き同じ4月、台湾は+11.1%、韓国は+11.2%。減る国と伸びる国が混在
順位の入れ替え4月は米国が首位。ただし米国自身は-6.1%——「伸びて1位」ではない
店への含意「全言語まんべんなく」から、来ている客の言語へ資源を寄せる段階に

発表の中身は、5月の総量と4月の国籍別で分かれている

「-13.4%」は5月の総量の話で、国籍別の最新は4月の数字だ。ここを混ぜると読み違える。

観光庁が7月6日に公表した宿泊旅行統計調査で、2026年5月(第1次速報)の延べ宿泊者数は5,339万人泊、前年同月比-4.8%。うち日本人が3,957万人泊で-1.4%、外国人が1,382万人泊で-13.4%だった。日本人はほぼ横ばい、外国人の落ち込みが全体を押し下げた構図が見える。

ところが5月の第1次速報には、国籍別の内訳がまだ載っていない。「どの国が減ったのか」を見るには、同時に公表された4月(第2次速報)の国籍別データにさかのぼる必要がある。総量は5月、内訳は4月——この時差を踏まえて読むのが前提になる。

減ったのは「全員」ではなく、中国だった

4月の外国人宿泊は全体で-10.8%。だがその内訳は、国ごとに符号すら違う。

4月の国籍別で目を引くのは中国の落差だ。延べ1,071,610人泊、前年同月比-55.0%。ほぼ半減し、順位も4位まで下がった。一方で同じ月、台湾は+11.1%、韓国は+11.2%と二桁で伸びている。全体が二桁のマイナスでも、その裏では増えている市場が確かにあった。

「インバウンドが冷めた」という言葉は、この非対称を覆い隠す。現場の実感として、中国からの団体が薄くなった店と、台湾・韓国の個人客が増えた店とでは、同じ「-13.4%」の景色がまるで違って見えているはずだ。

首位が米国に替わっても、それは「伸びた国」ではない

米国は4月の首位。ただし前年同月比は-6.1%。1位になった理由は、自分が伸びたからではなく、上にいた中国が崩れたからだ。

4月の首位は米国で、延べ1,775,190人泊、シェア13.2%。訪日ラボの集計では、米国が首位に立つのは2023年3月以来、3年1か月ぶりだという。ただ数字を一段めくると、米国自身も-6.1%と減っている。首位の座は伸びの勲章ではなく、中国が半減して空いた席に座った結果に近い。

しかもその席は安泰ではない。2位の台湾は延べ1,764,240人泊で、シェアは米国と同じ13.2%。伸び率は+11.1%だから、勢いはむしろ台湾にある。順位表が語っているのは「誰が伸びたか」ではなく、「誰が残ったか」だ。読むべきは1位という肩書きより、その下でせり上がってくる市場の速度のほうにある。

この入れ替えが、多言語対応とMEOに効いてくる

客の国籍が変われば、メニューで優先すべき言語も、口コミが集まる場所も動く。総量の増減だけ見ていると、この調整を見送ってしまう。

店側の打ち手に落とすと、話は「何語を厚くするか」に変わる。伸びているのは台湾(繁体字中国語)と韓国語、そして相対的に上位に残る英語だ。中国語簡体字は急減したとはいえ、まだ4位の市場として残っている。だから簡体字を捨てるのではなく、繁体字・韓国語・英語の比重を上げて並べ替える——そういう優先度の調整が現実的な判断になる。

MEO(Googleマップ最適化)でも同じことが起きる。国籍によって、店を探す入り口も、口コミを書く場所も違う。英語圏はGoogleの口コミや地図検索、韓国からの客はSNSや自国の地図・レビュー、台湾は繁体字での検索と写真投稿——来ている客がどの言語でどこを見ているかで、力を入れる面が変わる。自店のGoogleビジネスプロフィールに、今どの言語の口コミが増えているか。その一点が、次に厚くすべき言語を教えてくれる。

飲食店が今やること

  1. 自店の客層を「国籍」で見直す:予約・決済・口コミの言語から、実際に来ている客がどの市場かを把握する。全国の総量より、自店の入り口に映る構成が判断材料になる。
  2. メニューの言語優先度を組み替える:繁体字中国語・韓国語・英語の比重を上げつつ、簡体字は残す。均等配分ではなく、来店実態に寄せた重み付けにする。
  3. Googleビジネスプロフィールを言語別に手入れする:増えている言語の口コミに返信し、その言語圏が見たい写真(店内・料理・アクセス)を足す。反応の速い言語から着手する。

参考資料

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