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Googleが「見せかけの口コミ」をレビュー構造化データの技術ガイドラインに書き込んだ——東京都の広告監視結果と重ねて読む

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Googleが「見せかけの口コミ」をレビュー構造化データの技術ガイドラインに書き込んだ——東京都の広告監視結果と重ねて読む

「Googleマップの口コミルールが変わった」という話ではない。2026年7月24日(UTC)に更新されたのは、自社サイトに埋め込む Review / AggregateRating 構造化データの技術ガイドラインだ。追記された一文は "Don't include fake or undisclosed incentivized reviews on your page or in your structured data markup." ——偽のレビューと、見返りと引き換えに書かれたのにその事実を開示していないレビューを、ページにも構造化データのマークアップにも入れるな。同じ週の7月23日には、東京都が令和7年度の広告表示監視事業の結果を公表し、指導類型の一つに「一般消費者の投稿を装う表示(ステルスマーケティング)」を挙げている。管轄も根拠法も違う二つの発表が、一点で交わる。問われているのは口コミを集めたかどうかではなく、集めた経緯を明かしたかどうかだ。


KEY POINTS

表面深層母集団・単位
Googleが偽レビュー・インセンティブ未開示レビューの禁止を明記 上位文書 General structured data guidelines には既に fake reviews を含む一般禁止規定がある。今回の更新は新規制定ではなく、個別ドキュメントへの具体化 Review / AggregateRating 構造化データの技術ガイドライン(英語版、Last updated 2026-07-24 UTC)。Googleマップ・Googleビジネスプロフィールの口コミ policy に関する発表ではない
違反するとどうなるのか 同ページのガイドライン節冒頭は "must follow these guidelines to be eligible to appear as a rich result"、上位文書は違反が "prevent syntactically correct structured data from being displayed as a rich result in Google Search, or possibly cause it to be marked as spam" と記す 前2文はレビュー スニペットのガイドライン全体(技術ガイドラインを含む)、後1文は全構造化データ共通の上位ポリシー(sd-policies)の一般条項
東京都が377件(312事業者)に改善指導 内訳はインターネット広告178件の広告(163事業者)とSNS等広告199件の広告(149事業者)。監視件数は16,000件と320件で、指導件数とは別系統の数字 東京都 令和7年度(2025年4月~2026年3月)インターネット・SNS広告表示監視事業。景品表示法に基づく指導。377は広告の件数、312は事業者数
指導類型に「ステルスマーケティング」が並ぶ 不当表示が多く見られたのは健康食品・化粧品・雑貨で、SNS広告では健康食品が指導数全体の6割以上。件数ではなく類型のほうが業種を越える 東京都の同発表。飲食店業種の指導件数は本発表に明示されていない

Googleが追記した一文

追記されたのは、レビューのマークアップ要件を並べた箇条書きの中の一項目である。

場所は Google 検索セントラルの「Review snippet (Review, AggregateRating) structured data」ページ、Technical guidelines 節。Last updated は 2026-07-24 UTC。原文を引く。

"Don't include fake or undisclosed incentivized reviews on your page or in your structured data markup. Examples include:
- Reviews that aren't based on a genuine experience of a product or service
- Reviews written in exchange for a benefit (such as money, discounts, vouchers, or free products) that don't clearly and prominently disclose the incentivization"

— Google Search Central『Review snippet (Review, AggregateRating) structured data』Technical guidelines (Last updated 2026-07-24 UTC)

例示の二行は、分けて読みたい。前者は「商品やサービスの実体験に基づかないレビュー」。後者は「見返り(金銭、割引、クーポン、無償提供品)と引き換えに書かれたのに、その見返りを明確かつ目立つ形で開示していないレビュー」。後者で禁じられているのは、見返りそのものではない。開示の欠落だ。

読み違えやすいのが適用範囲のほうだ。この文書が扱うのは、自社のウェブページに埋め込む Review / AggregateRating の構造化データである。Googleマップや Google ビジネスプロフィールに投稿される口コミの取り扱いを定めた発表ではない。同じ「口コミ」でくくると、手を入れる場所を間違える。

実務的な注意をもう一つ。更新されたのは英語版ドキュメントである。海外SEO情報ブログの鈴木謙一氏は2026年7月28日の記事で「この記事を書いている時点では日本語ドキュメントは未更新」と指摘している。日本語版だけを追っている限り、この追記は視界に入ってこない。

これは新しい禁止ではない

偽レビューのマークアップ禁止は、より上位のポリシー文書に以前から書かれていた。

全構造化データ共通の上位文書「General structured data guidelines」を開くと、こうある。

"Don't mark up irrelevant or misleading content, such as fake reviews or content unrelated to the focus of a page."
"Don't use structured data to deceive or mislead users."

— Google Search Central『General structured data guidelines』(2026年7月30日確認)

fake reviews という語は、既にここにあった。7月24日の更新は、この一般規定をレビュー スニペットの個別ガイドラインに具体化・明文化したものと読むのが正確だろう。「Googleが新たに禁止した」と書いてしまうと、事実の形が変わる。

では具体化に意味はないのか。ある。一般規定は「誤解を招く内容をマークアップするな」で止まっていた。今回の追記は、その線を二つの例示に落とし込んでいる。抽象的な禁止と、例示付きの禁止では、現場での使い勝手が違う。

違反した場合の性格も同じページから読める。ガイドライン節の冒頭が置くのは、リッチリザルトとして表示される資格の前提条件だという位置づけ。違反すれば手動対策の対象になり得るとも書かれている。

"Your content must follow these guidelines to be eligible to appear as a rich result."
"If your site violates one or more of these guidelines, then Google may take manual action against it."

— Google Search Central『Review snippet (Review, AggregateRating) structured data』Guidelines

上位文書はさらに踏み込む。構文的に正しいマークアップでも、リッチリザルトとして出なくなる、あるいはスパムとして扱われることがある——そう書いてある。

"Violating a quality guideline can prevent syntactically correct structured data from being displayed as a rich result in Google Search, or possibly cause it to be marked as spam."

— Google Search Central『General structured data guidelines』(2026年7月30日確認)

東京都が同じ週に公表したもの

東京都は令和7年度の広告表示監視事業で、377件(312事業者)に改善指導を行ったと公表した。

発表は2026年7月23日。対象の令和7年度は2025年4月から2026年3月までにあたる。数字の系統を分けて置いておく。

区分監視件数景品表示法に基づく指導
インターネット広告16,000件178件の広告(163事業者)
SNS等広告320件(東京都は「前年の240件から320件に増やしました」と記す)199件の広告(149事業者)
リード文の表記377件(312事業者)に対し改善指導

「377件」は広告の件数で、「312事業者」は事業者の数。別の単位だ。監視件数(16,000件・320件)と指導件数(178件・199件)も別系統なので、混ぜて比率にしないほうがいい。

指導内容として挙げられた類型は三つある。「根拠不明の『No.1表示』」(優良誤認表示)、「実質的に継続する『期間限定』表示」(有利誤認表示)、そして「一般消費者の投稿を装う表示(ステルスマーケティング)」。

ここは適用範囲を明確に書いておく必要がある。東京都は同じ発表で「健康食品・化粧品・雑貨に不当な表示が多く見られました。特にSNS広告では健康食品が指導数全体の6割以上を占めました」と記している。指導の中心は健康食品・化粧品・雑貨であり、飲食店業種の指導件数はこの発表に明示されていない。「飲食店が何件指導された」という読み方はできない。飲食店に届くのは件数ではなく、類型のほうだ。一般消費者の投稿を装う表示、客観的裏付けの不十分なNo.1表示。この形は業種で区切られていない。

交差点は「開示」の一行

二つの発表を並べると、禁止されている対象が思ったところにないと気づく。

Googleの技術ガイドラインは検索結果の表示資格の話で、東京都の指導は景品表示法に基づく行政指導。管轄も根拠も別で、申し合わせて同じ週に出たわけでもない。

それでも、どちらも「レビューや投稿を集めること」自体を止めてはいない。Googleが挙げた例示は「見返りと引き換えに書かれたのに、その事実を明確かつ目立つ形で開示していない」レビュー。東京都が挙げた類型は「一般消費者の投稿を装う表示」で、広告であることが不明確だという点に指摘が向いている。線が引かれている場所は同じだ。開示である。

ただし、開示の有無で線が引かれていると読めるのは、今回追記された例示の文言についてである。景品表示法上の評価は東京都や消費者庁の判断領域であって、ここで代わりに結論を出せる話ではない。

本質は「口コミをどう集めるか」ではない。集めた経緯が、どこに、どれだけ見える形で書かれているか。問われているのはそちらだ。集め方のテクニックだけを磨いても、開示の一行がなければ二つの経路で同時に引っかかる。

自店で確かめる場所

最初に見るのは、自社サイトに Review / AggregateRating のマークアップが入っているかどうか。

入っていなければ、7月24日の追記が直接効いてくる場面はない。入っているなら、そのレビューがどこから来たのかを辿る作業が残る。ホームページ制作を外部に任せていて、星の平均値だけが構造化データに書き込まれている——飲食店では珍しくない形だ。その数字の元になった投稿が実体験に基づくものか、見返りと引き換えのものか。答えられる状態になっているだろうか。

見返りの範囲も見ておきたい。Googleが挙げたのは "money, discounts, vouchers, or free products"。現金だけではなく、割引、クーポン、無償提供品が並んでいる。「レビューを書いてくれたらドリンク一杯」という形の販促は、この列挙のうち free products に近い。ただし禁じられているのは販促を行ったこと自体ではなく、開示のないレビューをページと構造化データに載せることだ。

この流れにどう備えるか

  1. 自社サイトの構造化データを棚卸しする: Review / AggregateRating を出力しているか、その数値の出どころはどこか。制作会社任せなら、誰が何を書き込んでいるのかを一度聞いておく。
  2. レビュー獲得の販促があるなら、開示の文言を用意する: Googleの例示は "clearly and prominently disclose" と書いている。ページの下端に小さく添えるだけでは、この形容に届かない可能性がある。
  3. 英語版ドキュメントを基準にする: 鈴木謙一氏の指摘によれば、日本語版は2026年7月28日時点で未更新だった。日本語ページだけを追っていると、追記の存在に気づけない。
  4. 「No.1」「期間限定」の裏付けを手元に置く: 東京都の指導類型には、客観的裏付けが不十分なNo.1表示と、実質的に継続する期間限定表示が並ぶ(指導の中心は健康食品・化粧品・雑貨で、飲食店業種の件数は非公表)。

参考資料

#MEO対策#口コミ管理#構造化データ#ステルスマーケティング#飲食店集客
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