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ブランド検索の83%にAIによる概要、Ahrefs調査は米国・デスクトップ|日本語検索はこの数字の外にある

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ブランド検索の83%にAIによる概要、Ahrefs調査は米国・デスクトップ|日本語検索はこの数字の外にある

ブランド名で検索してくれた人には、自社サイトが一番上で応える。指名検索を支えてきたこの前提に、Ahrefs が2026年10月2日の記事で数字を当てました。見出しは "AI Overviews Currently Appear for 83% of Branded Searches"。ブランドを含む検索の83%に、AI による概要(AI Overviews)が表示されているという内容です。この見出しを日本市場の資料に貼るのは、まだ早い。

83%は、米国・デスクトップの Google 検索結果を測った数字です。日本の検索結果も、スマートフォンの検索結果も、標本に入っていません。私たちが確認できた日本側の一次資料にも、出現率の数字は載っていませんでした。日本の担当者は、自社のブランド名を日本語とスマートフォンで検索した記録を、自分で持つことになります。

この記事は選択層(GEO)の話です。生成AIの検索画面でブランドがどう表示され、行動につながるかを扱います。対象はブランドで、日本市場に入る韓国・米国ブランドの日本担当と、ブランドの GEO/SEO 担当に向けて書きます。


見出しの「83%」を、数字と標本に分ける

見出しから読める範囲と、本文と図を開いて分かる範囲を、数字と標本について並べた表です。

項目表面(見出しで読める範囲)深層(本文と図を開くと)
数字ブランド検索の83%に AI による概要2026年9月29日時点で82.91%。9月の月平均は73.3%。どちらも米国・デスクトップ
標本「ブランド検索」という一つのまとまり約2億3,280万件のクロール(米国・デスクトップ。うちブランドを含むキーワードは約9,250万件)と、100ブランドのパネル(ブランド名だけの検索)は別の標本

Ahrefs が測ったのは、米国・デスクトップの7月から9月

見出しの83%に当たる正確な値は82.91%で、2026年9月29日という一時点の数字です。

記事(Ryan Law 氏)は、標本を一文で説明しています。

"We analyzed 232.8 million US desktop Google search-result crawls from July to September 2026, consisting of 92.5 million branded-keyword crawls and 140.2 million non-branded-keyword crawls."

Ahrefs Blog「AI Overviews Currently Appear for 83% of Branded Searches」

米国のデスクトップ検索、2026年7月から9月。クロールは約2億3,280万件です。内訳は、ブランドを含むキーワード(branded keywords)が約9,250万件、含まないキーワードが約1億4,020万件。

同じ段落に、時点の値と月平均が並んでいます。

"As of September 29th 2026, AI Overviews appeared in 82.91% of the US desktop search results for branded keywords. Looking at monthly averages, 73.3% of branded keywords triggered AI Overviews, up from 65.1% in August and 61.3% in July."

同上

82.91%は9月29日時点の値。月平均は別にあり、9月が73.3%、8月が65.1%、7月が61.3%です。見出しとリード文の「83%」に対応する値は、本文ではこの一文にしか出てきません。「9月は平均83%だった」と書けば誤りになります。

月(2026年)ブランドを含むキーワードブランドを含まないキーワード
7月61.3%73.5%
8月65.1%74.7%
9月73.3%78.3%

AI による概要が表示されたキーワードの割合で、米国・デスクトップの月平均です(出典は Ahrefs の同記事)。Ahrefs 自身の整理では、7月から9月の伸びはブランドを含む側が12ポイント、含まない側が4.8ポイント。両者の差は7月の12.2ポイントから、9月には5ポイントまで縮みました。以前の調査ではブランドを含まない検索の方がはるかに多かったが、"That is clearly no longer the case" と記事は書いています。

書かれていないこともあります。branded keywords をどの基準で分類したのか。クロール時のログイン状態はどうだったのか。米国内のどの地域の結果なのか。検索語の一覧はあるのか。記事の本文にも図にも、これらの記述は見当たりません。見出しとリード文には「米国・デスクトップ」の限定が付いていません。限定は、本文の標本説明と図の注記に出てきます。見出しだけが日本語圏に流れれば、国も端末も落ちた「83%」が残ります。

「83%」と「100ブランド中63」は別の標本から出ている

表示位置と引用元の数字は、100ブランドのパネルから出ています。

Ahrefs は Interbrand の Best Global Brands 2025 から100ブランドを選びました。ブランド名だけを入れた検索結果を、7月から9月にかけて週1回、計14回確認しています。記事の補足にはこうあります。

"This is a separate sample from our broader branded-keyword research: it covers bare brand names (like “bluehost”), rather than every kind of search containing a brand."

同上

クロール側の「ブランドを含むキーワード」は、ブランドが入ったあらゆる種類の検索。パネルの方は、ブランド名だけの検索です。二つの数字を一つの文に混ぜると、何の何%なのかが分からなくなります。以下はパネル(米国)の数字です。

  • 9月30日時点で、100件のブランド名検索のうち63件に AI による概要が表示された(7月1日時点は、有効な結果98件のうち5件)
  • その63件のうち48件(76.2%)が1位に表示され、平均位置は1.49
  • 全文を確認できた58件の回答のうち、競合に明示的に触れた回答は2件(3.4%)。57件の引用元リストの中で、競合が所有すると確認されたサイトは1件

外部の引用元(検索されたブランド自身のサイトを除く)は、57件の AI による概要のうち各サイトを引用していた件数と割合で示されています。分母の57は Ahrefs の図にある数字です。

外部ドメイン引用していた AI による概要の件数(57件中)割合(Share)
Wikipedia4171.9%
YouTube2238.6%
LinkedIn1322.8%
Yahoo Finance915.8%
Facebook610.5%
Walmart47.0%

著者が問題にしているのは、クリック率より語り手の方です。Wikipedia は多くのブランドにとって "a fairly neutral source"。YouTube と LinkedIn については、自社ドメインの自社ページに比べ、ブランドが語られ方を左右することは "much, much harder" だと書いています。

パネルは、世界的なブランドランキングから選ばれた100件を、ブランド名だけで検索したものです。国は図の副題に「US」とあり、端末の記載はありません。日本でこれから名前を知ってもらうブランドの検索結果を測った数字ではない。ここは動きません。

日本の検索結果について、一次資料に書いてあること

日本側の一次資料は、表示の条件までを書いています。

Google 検索ヘルプの日本語版は、AI による概要の提供対象の国に「日本」、言語に「日本語」を挙げています(2026年9月11日確認)。日本での提供は、Google Japan Blog の2024年8月16日付の記事で告げられています。

「AI による概要の利便性を日本を含む英国、インド、インドネシア、メキシコ、ブラジルの 6 か国へと拡大し、各国の言語への対応も開始します。」

Google Japan Blog「AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法」

機能ごとの提供範囲は「日本語のAI検索はどこまで開いているか」で整理しました。ここでは表示の条件に絞ります。ヘルプが書く条件は、「Google 検索の検索結果に AI による概要が表示されるのは、生成 AI が特に有用であるとシステムが判断した場合です。」という一文です。

日本には、もう一つ資料があります。スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)に基づいて、指定事業者が公正取引委員会に提出する遵守報告書です。公取委は2026年7月27日、Apple、iTunes、Google の報告書を、事業者の秘密を除いて公表しました。Google LLC の報告書は2026年6月1日付で、2026年3月31日現在の遵守状況を報告するもの。その中に、公取委があらかじめ通知した「別枠」の一つとして「AIによる概要」の項目があり、表示条件が一文で説明されています。

「[事業者の秘密] AIによる概要は、特定の検索結果ページが明らかに向上する場合にのみ表示されます。」

Google LLC「遵守報告書」公表版 98ページ(公正取引委員会ウェブサイト掲載)

公表版のこの回答に、典型的な検索語句の例は見当たりません。同じ項目の「当該別枠を設置する目的」と「指定事業者等の商品又は役務に係る情報のみが表示されるか否か」への回答は、[事業者の秘密] の表示だけです。利用者が非表示を選ぶ方法としては検索バーの下の「ウェブ」タブが挙げられ、「ここではテキストベースのリンクのみ(すなわち、AIによる概要なし)を表示します」とあります。

この資料を読むときの注意が三つあります。

  • Google の説明であって、公取委の認定ではない。公取委は公表ページに「公表した遵守報告書の内容は、あくまで指定事業者の見解を示すものであり、当委員会の見解を示すものではありません。」と明記しています。
  • 条件の文言から、出現率は読めない。「明らかに向上する場合にのみ」とあるから日本では少ない、とは言えません。米国・デスクトップの82.91%(2026年9月29日時点)を日本に当てはめることもできない。日本が米国と同じくらいなのか、低いのか、高いのか。今ある資料からは、どれも言えないのです。
  • 端末も重なっていない。遵守報告書は、スマートフォンで使われるソフトウェアを対象にした法律に基づく報告。Ahrefs はクロールの標本をデスクトップと明記しています。

私たち自身も、日本語のブランド名検索での出現率は測っていません。ブラウザでの手作業の観測は再現性に限界があり、率として出せる数字にならないからです。日本の「何%」は、この記事では空欄のままにします。

問うべきは「日本でも83%か」ではない

出現率は市場の数字で、自社のブランド名の検索結果は、見れば分かる一つの事実です。

本質は率の高低ではなく、自社の名前で検索した人に誰が最初に話しているか。指名検索の画面は、ブランドが自分のサイトで自分を説明できる場所でした。AI による概要が一番上に入ると、最初の説明は、AI が複数の情報源をまとめた要約が受け持ちます。先に見たパネル(米国)の外部の引用元の並びは、語り手が自社ドメインの外へ移り得ることを示しています。

語り手が外へ移った画面を、日本語で読んで評価できる人は多くありません。本国のチームは米国の検索結果なら自分で開けます。日本語の検索結果に出た引用元が妥当か、記載が古くないかの判断は、日本語を読む担当者の仕事になります。市場全体の率が高くても低くても、自社のブランド名に AI による概要が出ているかどうかは、検索すれば分かる。自社にとっての答えは、「出ている」か「出ていない」かのどちらかです。

Ahrefs の調査は、日本の担当者に観測の枠を渡してくれます。表示の有無、位置、外部の引用元、競合への言及。これらの項目は、国と言語を入れ替えてもそのまま使えます。

本国から「ブランド検索の83%に AI による概要」と書かれた資料が届いたら、二つのことを返せます。一つ目は、その数字が米国・デスクトップで測られたという事実。二つ目は、日本語とスマートフォンで自社のブランド名を検索した結果です。二つ目を言えるのは、日本を担当している人です。

一度見て終わりにもできません。Ahrefs はパネルの確認で、AI による概要の表示が9月の初めに大きく増えたと書き、記事の終わりではこう断っています。

"Google routinely changes the appearance and triggers of AI Overviews, and there's no guarantee that the situation we’ve shown here will remain"

同上(Ahrefs Blog)

測った本人が、続く保証はないと言っている。記録に日付が必要な理由はここにあります。


日本市場の担当者が月曜日にやること

  1. 自社のブランド名を、日本語・スマートフォンで検索して記録する。検索語は、ブランド名だけのもの(英字表記とカタカナ表記)と、ブランド名に一語を足したもの。Ahrefs の記事は、ブランド名そのものとログインページの検索を例に挙げています。日付、端末、ログインの有無、AI による概要の有無、位置(一番上かどうか)、引用元のドメイン、競合の名前が出るかどうかを記録します。「ウェブ」タブに切り替えた結果も隣に残します。同じ条件で週に1回。手作業の観測は条件で結果が変わり得るので、条件ごと書いておきます。
  2. 記録に出てきた引用元から点検する。Ahrefs のパネルで上位だった Wikipedia、YouTube、LinkedIn が、日本語の検索結果でも同じ順に並ぶとは限りません。自分の記録に実際に出たドメインを先に見ます。その上で、日本語版 Wikipedia に自社の項目があるか、記載が古くなっていないか。YouTube の公式チャンネルと LinkedIn の会社ページに、日本語で読める最新の情報があるか。日本で AI が引用するドメインの集計は、10月1日の記事で扱っています。
  3. 本社・クライアントへの報告に、数字の範囲を書く。「Ahrefs 調査、米国・デスクトップ、2026年9月29日時点で82.91%、9月の月平均は73.3%」と、範囲ごと書きます。その下に、日本語・スマートフォンでの自社の観測記録。日本の出現率の欄は「測定値なし」とし、米国の数字で埋めません。

空欄を空欄のまま報告するのは、落ち着かない作業です。それでも、国と端末の違う数字で埋めた報告書より、日付と条件の付いた自社の検索結果の方が、次の判断に使えます。

参考資料

#AI検索最適化#GEO#AIによる概要#指名検索#日本進出
日高 駿

日高 駿

株式会社MenuMenu 代表取締役

ソフトウェアエンジニアであり、UI・UXデザイナー。2012年からシリコンバレーと韓国でプロダクトをつくってきました。SEO・MEO・AEOの専門家として、訪日観光客と日本のローカルビジネスをつなぐMenuMenuを自ら設計・開発しています。

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