AIが「公式サイト」を探し始めた|海外ブランドの日本語公式ページは公式として拾われるか

「AIの答えに載りたければ、まず第三者のレビューや比較記事に出ること」。本国でそう組み立ててきたGEOを日本に持ち込もうとしている海外ブランドにとって、10月に出た二つの材料は向きが違います。主役は第三者ではなく「公式」でした。
Googleは10月15日、AI モードと AI による概要の回答の上部に、「公式」の場所へのリンクを専用の枠で出す表示をテストすると予告しました。その3日前、AhrefsはChatGPTの裏側の検索(ファンアウト)を分析し、9月の英語のファンアウトの13.1%に「official」という単語が入っていたと報告しています。ただし、Googleの発表には国・言語の記載も「公式」の判定基準もありません。日本語で質問されたとき、海外ブランドの日本語の公式ページが「公式」として拾われるのか、グローバルの .com が拾われるのか、答える数字は二つの原文のどこにもない。
この記事は、選択層(GEO)と引用層(AEO)でのブランドの扱いを、日本市場に入る韓国・米国ブランドの日本担当と、それを支える代理店に向けて書きます。
KEY POINTS
| 見出しで読むと | 原文の範囲 |
|---|---|
| GoogleのAI検索に「公式サイト」の枠ができた | テスト段階の予告 |
| ChatGPTは「公式」を探しに行くようになった(official 13.1%) | 英語のファンアウトでの比率(9月) |
| ChatGPTのsite:検索の76%がブランドサイト | 分母は上位約160ドメインへのsite:検索 |
| 事実を聞く質問の84.4%が公式の出典を引用 | 別のテスト(米国のプロンプト2万件) |
Googleが予告したのは「公式の枠」のテストだった
10月15日の発表で、公式の場所へのリンクを並べる専用の枠は「テストする」と書かれています。始まったわけではありません。
記事のタイトルは「More ways to connect with the web from Search」。Google の VP(Product Management)、Hema Budaraju 氏の名前で出た、AI モードと AI による概要の更新のまとめです。今回の話の中心は、その二つ目の項目にあります。
"Sometimes, there are only one or two official places on the web to complete a specific task or get the exact info you need. We'll be testing a new display in Search AI experiences to prominently surface these links in a dedicated section at the top of a response, with context about why each link is useful."
Google「More ways to connect with the web from Search」(2026年10月15日)
ある手続きを済ませる。正確な情報を得る。そのための「公式の場所」がウェブに一つか二つしかない場面で、回答の一番上に専用のセクションを設け、リンクごとに「なぜ役に立つか」の文脈を添える。それを試すという内容です。Googleはこれを、特定のサイトに行きたい検索でリンクを前面に出す、今の挙動の延長だと位置付けています。
同じ記事でも、項目によって段階が違う点は押さえておきたい。インライン リンク(AIの回答の語句に埋め込まれたリンク)を回答の上の方に出す更新は「launching」、公開です。公式の枠は「We'll be testing」。
Google自身の記事の冒頭に付いたAIの要約が、話をややこしくしています。この生成AIの要約は、公式の枠を「A dedicated section now highlights official websites」と、既に動いているかのように書いている。要約の下には「Generative AI is experimental」の注記。本文を開かずに要約だけで記事を書けば、「Google、公式サイト枠を開始」という見出しが出来上がってしまいます。
国も言語も、「公式」の基準も書かれていない
公式の枠について、Googleの記事は提供する国も言語も書いていません。何を「公式」と判定するのか、事業者が自社のページを公式として届け出る方法があるのかも、本文にはありません。
同じ記事の三つ目の項目と比べると、違いがはっきりします。ニュース記事のカルーセルについては「additional locations and languages globally」へ広げ始めると、地域と言語に触れている。公式の枠の項目には、その一文がない。
記事からリンクされている Search profiles(クリエイターやパブリッシャーのプロフィール)のヘルプとブログも開きました。「official」の語も、公式サイトの表示基準も、そこには出てきません。この発表の日本語版のページは、執筆時点で確認できていません。米国発の数字が日本語検索の外にあるという構図は、AIによる概要とブランド検索の記事でも扱いました。
ここが日本の担当者には効いてきます。Googleの想定は「公式の場所が一つか二つ」。ところが日本に入った海外ブランドは、公式を名乗れる場所を三つ、四つ持っていることがあります。本国のグローバルサイト(.com)、その日本語ディレクトリ(/ja/)、日本法人の .jp ドメイン、モールの公式ストア、正規代理店のサイト。この枠が日本語でも出るなら、「〇〇 公式」と聞かれたときにどれが残るのか。
ChatGPTの「official」13.1%は、英語のファンアウトの数字
Ahrefsの調査で「official」が増えた場所は、英語のファンアウトです。日本語のファンアウトに「公式」が何%入っていたかは、記事に出てきません。
ファンアウトは、AIが一つの質問を受けて裏側で自動的に投げる検索のことです(仕組みは8月の記事で書きました)。Ahrefsは、ChatGPTの無料・ログアウト状態のモデル GPT-5.6 Luna の応答6,660万件と、そのファンアウト1,500万件を分析しています。期間は2026年8〜9月。比較表には「all countries」とあり、国を絞っていません。
6,660万件のうち、Web検索を実行した応答は14.4%(960万件)。残りは検索をせずに答えています。その上で、ファンアウトに含まれる単語の比率を8月と9月で比べた結果が、次の一文です。
"The word “official” appeared in 13.1% of English fan-out queries in September, up from 10.1% in August."
Ahrefs「How ChatGPT Does Query Fan-Out (15 Million Queries Studied)」(2026年10月12日)
上位表に並ぶのも「2026」「official」「price」といった英語のクエリ語です。日本語の質問に対して、ChatGPTが「公式」と付けて検索するのか、英語に置き換えて「official」と付けるのか。Japan、Japanese という語自体、英語版の本文に出てこない。
「76%」と「84.4%」は、分母がまるで違う
同じ記事に並ぶ「公式」寄りの数字は、それぞれ別の分母から出ています。一つの物差しに見えて、そうではない。
まずsite:検索。分析したファンアウト1,500万件のうち6.8%が、site: 演算子で一つのサイトの中だけを検索していました。件数にして約100万件、対象は約11.6万ドメインに散らばっています。
見出しの「76%」(本文の表記は75.9%)は、この全体に対する比率ではありません。site:検索の対象として多かった上位約160ドメインに向けたsite:検索のうち、ブランドサイトが75.9%を占めた、という数字です。ここでいうブランドサイトは、apple.com や ikea.com のような企業のサイトを指します。小売(11.9%)、政府・保健当局(7.3%)、RedditとFacebook(1.9%)、レビューサイト(1.2%)とは区別されています。
84.4%は、さらに別の調査から来ています。6,660万件の分析とは切り離して行われた、米国のプロンプト2万件のテストです。価格・製品の特徴・会社情報を聞く事実型の質問のうち84.4%が、公式の出典を少なくとも一つ引用していました。「AとBのどちらが安いか」のような比較型では68.3%に下がります。
引用全体に占める公式サイトの比率は、また別の指標です。同じテストで、事実型は63.4%、比較型は46.4%。「公式を一つ以上引いた質問の割合」と「引用のうち公式が占める割合」を取り違えると、数字の大きさを読み違えます。
8月の記事で紹介した Nectiv の「64%」とも、並べて比べることはできません。Ahrefsの比較表によれば、Nectivの設定はAPI経由の GPT-5.6 Sol、約4,000プロンプトで、64%は「of queries」。Ahrefsは無料・ログアウトの GPT-5.6 Luna、6,660万応答で、6.8%は「of fan-outs」です。Ahrefs自身、自分たちのプロンプトはあらゆるトピックと国の検索需要から来ていると書いています。他の調査の多くは商用の「best X」型だった、という違いの説明です。2026年8〜9月の一つのモデルのスナップショットにすぎない、とも断っている。6.8%を見て「site:検索は減った」と読めば、誤りになります。モデルも、ログイン状態も、プロンプトも、分母も違う。
問われているのは「公式があるか」ではなく「日本語でどれが公式か」
本質は、AIが公式サイトを好むかどうかではありません。日本語の質問に対して、どのURLが自社の「公式」として選ばれるかです。
二つの原文は方向を示しています。Ahrefsは記事の締めで、ChatGPTは検索するとき、価格を決めるブランドのような「情報の持ち主」に向かうようになっていると書いています。
海外ブランドの場合、その「持ち主」が言語ごとに一つとは限りません。グローバルの .com に英語の価格があり、日本語ページには日本向けの価格がある。日本語で聞かれて英語の .com が公式として出れば、ユーザーは日本では使えない情報を見ることになる。正規代理店のページが公式扱いされれば、問い合わせの行き先が本社の想定とずれる。どちらも起こり得るという話で、起きたという報告は今回の原文にはありません。
だから日本の担当者は、対策の一覧より先に、自社ブランドを日本語で聞いたときの記録を持っておきたい。日本語のAI検索がどこまで開いているかはこちらの記事で整理しています。
日本の担当者が今週やること
- 日本語で自社ブランドを聞き、出てきたURLを記録する:Google の AI モード・AI による概要と、ログアウト状態の ChatGPT に、日本のユーザーが打ちそうな質問を日本語で入れます。「〇〇 公式」「〇〇 日本 価格」「〇〇 保証 問い合わせ」など。回答に引用・リンクされたドメインが、グローバルの .com か、日本語ページか、モールや代理店か。日付と画面の保存を添えて表にします。同じ質問を英語でも入れておくと、言語による違いを並べて見られます。
- 日本語の公式ページで、ブランド名と「公式」の表記をそろえる:カタカナ表記、英字表記、韓国ブランドならハングル表記。ページのタイトル、会社概要、フッターで表記が揺れていないか。日本での価格・仕様・サポート窓口が、画像やPDFだけでなく日本語のテキストで載っているか。Ahrefsは、ChatGPTがブランドサイトをsite:で検索するなら、価格・仕様・サポートの情報は「サイト上に、プレーンテキストで、見つけられるページに」ある必要があると書いています。英語のデータから出た助言ですが、日本語ページで同じ状態を作っておいて困ることはありません。
- Organization マークアップとサイト間の関係を点検する:日本語ページの構造化データ(Organization の name・alternateName・url・sameAs など)が、グローバルサイトや日本法人サイトとの関係を正しく書いているか。hreflang で言語版どうしがつながっているか。ただし、マークアップが公式の枠の判定に使われるとは、どこにも書かれていません。自社の公式がどこかを、人にも機械にも読める形で示しておく作業として行います。
参考資料

株式会社MenuMenu 代表取締役
ソフトウェアエンジニアであり、UI・UXデザイナー。2012年からシリコンバレーと韓国でプロダクトをつくってきました。SEO・MEO・AEOの専門家として、訪日観光客と日本のローカルビジネスをつなぐMenuMenuを自ら設計・開発しています。
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